就職してから後悔しない!内視鏡技師から見た、内視鏡室が向いてる人・向いてない人

消化器内視鏡技師

どんなことにストレスを感じ、どんなことにやりがいを感じるのか。何が好きで嫌いか。

まわりの環境も、働きかたも人によってさまざまです。

私は2つの内視鏡外来を経験し、すぐ辞めていく人、残る人、を見てきました。

内視鏡室が向いてる人、そうでない人の違いはなんだろう?

この記事では、消化器内視鏡技師と、はたらく人の健康を意識した保健師目線でもお話ししていきます。

内視鏡室に興味を持っている人が、「自分は向いているかもしれない!」と感じて、少しでも不安が解消してくれたら嬉しいです。

この記事でわかること
  • 内視鏡室が向いてる人の特徴
  • 内視鏡室勤務が向いていない人の特徴

<p class="has-black-color has-text-color has-small-font-size">蒼野こるり</p>

蒼野こるり

この記事を書いた人

結核病棟、小児科外来、整形外科外来を経験後、現在 消化器内科クリニックで働いている、

蒼野こるり です。

持っている資格は、看護師保健師消化器内視鏡技師資格

このブログでは、消化器内視鏡技師資格に合格するための情報と、内視鏡室に転職したい看護師さんへのお役立ち情報を発信していきます!

ちなみに現在は働きながら、Web制作&簿記3級を勉強中。

内視鏡室が向いている人の特徴10選

細かく見ていきます。

ルーティンワークが苦にならない

医療施設によって、どんな検査や治療を、どこまで行うのか、それぞれ異なります。また、同じ検査をだとしても病院やクリニックなどによって、物品の準備や流れなど、細かい手順は違うかもしれません。

ですが、日本消化器内視鏡技師会のガイドラインで守るポイントは決められています。

施設によって業務がマニュアル化されている場合がほとんどです。

機械の準備、点検、患者さまへの説明、前処置、機械の洗浄など、覚えるまでの最初の3ヶ月くらいは大変かもしれません。

覚えてしまえばルーティンワークになります。

急変することは病棟と比べると少ない

麻酔アレルギーなどのアナフィラキシーショック、検査中の急変は起きる可能性はありますが、病棟に比べると少ないでしょう。

なぜなら、そもそも状態が不安定な人に内視鏡検査を行うことは滅多にないからです。

放置すると全身状態が悪化する場合のみ、緊急内視鏡検査・治療を行います。(日本消化器内視鏡学会 監修のガイドライン)

緊急内視鏡
  • 消化管出血後24時間ないし48時間以内に行われる
  • 原因の診断、治療、予後判定を目的とした最優先の検査・治療
  • おもに消化管出血を起こしている疾患に対して行う
  • ショック状態の時は、輸液や輸血による循環動態の回復を優先させる
私の職場が行なっている緊急内視鏡の例
  • 胃アニサキス症が疑われる場合
  • 大腸ポリープ切除後の再出血時のクリップ法による止血術など

私の勤め先のクリニックでは、義歯を誤嚥した場合や高度な医療が必要な場合など、対応ができないケースでは大きな病院に紹介しているようです。

緊急内視鏡の今までの実績はあるのか、設備や人の体制が整っているのか、

気になる人は職場を選ぶ前に調べると良いでしょう。

  • 業務はマニュアル化していることが多い。覚えてしまえばルーティンワーク
  • 緊急内視鏡の頻度、行うかどうかは施設によって違う

決められた業務をテキパキこなすことが好きな人

検査開始時間までに、物品と処置具、機械を用意して…と、自分の頭の中で段取りを組んでうごける人は向いてるでしょう。

検査や治療は予約に沿って、1日に決められた件数を行います。計画通りスムーズに仕事がすすめられることが求められるからです。

私の勤め先の内視鏡室の体制の例
  • 内視鏡室は看護師2人、内視鏡医1人
  • 当日の内視鏡係(Ns)が協力して検査準備を行う

最初はうごきかたはわからないと思いますが、何回もやっているうちに覚えていくので大丈夫ですよ!

最先端の医療にかかわりたい人

日本の内視鏡医療のレベルは世界でもトップクラスです。

日系企業の医療機器を世界と比べると、ほとんどのものは世界にはかないません。

ですが驚くべきことに、

内視鏡では世界シェアを日系企業がほぼ100%の割合で独占しているのです!

これは、世界市場のほぼ全てを日本の企業が開発・製造しているということです。

日本が世界に誇る、消化器内視鏡!

消化器内視鏡は、エンジニアのたゆまぬ努力とともに、今も進化し続けています。

世界的な人口増加、長寿化による慢性疾患の増加、という背景をふまえると、体に負担が少なく行える内視鏡のニーズは、今後も大きくなっていくでしょう。

内視鏡室ではたらくことで、最先端の医療に関わることができて、モチベーションも上がります。

ちなみに…現在勤めている職場では、AIが搭載された最新の上部消化管内視鏡を使っています

AIが診断を助けてくれるなんてすごい!ワクワクするね!

(→後日詳細記事 「内視鏡の動向といま」)

  • 日本の消化器内視鏡は世界のトップクラス
  • 内視鏡室ではたらくと最先端の医療に触れられる

ワークライフバランスを大切にしたい人

1日の内視鏡件数が決められていることが多いため、病棟と比べると残業が少ない傾向になります。

自分の時間を確保しやすいため、子育て中のママさんにもおすすめです。

私の職場では、看護師の約4割が子育て中のママさんです!

専門性を高めていきたい人

内視鏡室は特殊な領域です。

病棟や他の診療科と比べて、特殊な点をいくつか挙げました。

内視鏡室が他と比べて特殊な点
  • 内視鏡特有のカメラ、洗浄機器、処置器具を扱う
  • 機器を使うために技術を高めることが必要
  • 瞬時に適切な判断をし、医師と連携する必要がある
  • 短時間で情報収集、アセスメントする
  • 患者さまの年齢や経験の有無にあわせて説明する能力が要る
  • 優先順位をつけながら、内視鏡に関する処置技術と看護技術を並行しておこなう

看護師としての基盤のうえに、内視鏡看護という特殊なスキルが上乗せされるイメージです。

ある程度基礎が身について、消化器内視鏡に興味を持った人、

ものごとを深く極めていきたい人にとっては向いてる職場でしょう。

具体的にどのような点が専門的なのか、下の関連記事でまとめました。こちらも気になる方はお読みください。

こちらは内視鏡室ではたらく看護師のスキルアップ資格、消化器内視鏡技師について、下の記事でくわしく書きました。

機械を扱うのが好き・苦にならない

機械を操作することが好きな人は、ストレスが少ないでしょう。

大腸カメラを例に出しますと、大きくて長い機械なので持ち運ぶのも洗浄するのも結構全身を使います。カメラは、早く、正確に、丁寧に、洗うことが求められるので、洗浄中は無心に慣れます。

ものを操作することが得意な人は、やりがいの一つに感じられるかもしれません。

短い時間で患者さまの心に寄り添える人

初めての検査で不安を感じている方もいれば、定期検査で慣れている方もいます。

患者さまの状況はさまざまです。

限られた時間の中で、患者さまが気になっていることにすぐに気づけて心に寄り添える人は、内視鏡室の看護に向いてるでしょう。

長い時間じっくり話すのが得意ではない人

少しマイナスは表現になってしまいますが、患者さまとの深いコミュニケーションを避けるために、内視鏡室を選ぶ方もいます。

人と関わるのは好きで看護師になったけど、長時間、長期間となると疲れてしまう…

そんな人もいるかもしれません。

HSP気質の私は、そんな悩みがありました

内視鏡室は、内視鏡検査・治療に特化した場所なので、そのサポートに集中することができます。

もちろん、同僚や医師と十分なコミュニケーションは必要です。

短時間だったらコミュニケーションがんばれます!って人にもおすすめです

内臓の中身を見たり、血が平気な人

当たり前のことですが、内視鏡室では内臓の中を見ない日はありません。

出血や内臓を見るのが平気な人は向いています。

ですが、血がダメな人でも大抵は慣れるので大丈夫です!

その証拠は自分です。

恥ずかしながら、看護実習で胃カメラを見学させていただいたとき、迷走神経反射で倒れたことがあります^^; 子どものころは、採血される時も時々倒れていました( ; ; )

こんなよわよわ看護師でも、慣れるので大丈夫ですよ〜

予防医療にかかわりたい人

内視鏡室ではたらくことは、予防医療の2次医療、3次医療に関わることができます。

検診という役割の内視鏡検査は、予防医療における2次予防です。早期発見、早期治療ですね。

内視鏡で行う治療の一部は、3次予防です。病気の増悪防止に努め、病気の回復や再発防止をはかります。

「何もなくてよかった」「早めに先生が見つけてくれて本当によかった」

そう言って安心して帰る方を見送ると、こちらもよかったなあと本当に思います。

超高齢医社会(高齢者の割合が21パーセントを超えた日本の社会)において、国の医療費削減は今を生きる人にとって関係ない話題ではありません。

予防医療に関わっていることで、現役世代の税金負担を少しでも減らして、より良い社会づくりに貢献できます。


ここまでが、「内視鏡室が向いている人の特徴」 でした。

内視鏡室が向いてない人の特徴

つぎは内視鏡室が向いてない人の特徴を説明してきます。

まったり働きたい人

内視鏡室がある職場は、内視鏡業務だけではなく、他の診療科の診察も行っている場合があります。

どの程度の忙しさを許容できるかは人によってそれぞれですし、診療科目、病院の業務内容や先生の方針によっても違ってきます。

  1. 新人のように内視鏡のことを一から学ぶのは嫌
  2. 忙しい、きつい

そう感じて辞めていく方も何人かみてきました。

「こんなはずではなかった!」となる前に、可能であれば就職前に見学したり、転職エージェント等を活用して、職場の雰囲気を聞いたりすることをオススメします。

幅広い看護スキルを身につけたい人

内視鏡看護というものは、基本的な看護技術に上乗せされておこなわれるものだと考えています。

そのため、看護学校を卒業したばかりの新人看護師さんにはあまりおすすめできないと考えています。

「自分は内視鏡看護で生きていくんだ!」というような方なら良いかもしれないですが、将来転職したくなったとき、選択肢を狭めてしまうことになってしまいます。もちろん、看護教育も含めて教育体制がしっかりしているところであれば不安は減るかもしれません。

私いち個人の考えですが、他の診療科も経験してからでも遅くないのかな?と思います。

患者さまとコミュニケーションをとることに喜びを感じる人

予約通りに業務をおこなうため、よほどの余裕があるとき以外は患者さまと雑談している時間はとれません。病棟と比べると患者さまと会話する時間は少ないです。

じっくりコミュニュケーションを取ることにやりがいを感じる人は、物足りなく感じるかもしれません。

便や吐瀉物の匂いや処理が苦手な人

胃カメラ中に胃液が逆流して吐いてしまったり、高齢の方が大腸カメラでトイレが間に合わなくて粗相してしまったり、そういう場面にはよく遭遇します。消化器科である以上は避けられません。

看護師を続けて、排泄のケアをしていれば慣れるとは思いますが、「そんなに毎日排泄物を見たくない…」という方は別の職場の方が向いてるかもしれません。

まとめ

内視鏡室に向いてる人、向いていない人の特徴を説明してきました。

内視鏡機器を扱うという特殊性に慣れることができ、基礎的な看護技術を身につけた人であれば、多くに人に向いてる職場だと、個人的に思います。

メリット全部当てはまっている必要はありません。大切なのは、自分の価値観です。

何が外せなくて、何がダメなのか。何を許せるのか。

自分で知っていることが大切です。

今働いていて「何か違うなあ」と感じている人は、働きかたをもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました