内視鏡室でしばらく看護師として働いていると、こんなモヤモヤした気持ちが出てくると思います。
- 自分の内視鏡の手技が合っているのか不安…
- どこまで治療に関わって良いのかわからない
- 内視鏡室の看護の専門性って、具体的にどんなこと?
- どうやって専門性を身につけるの?
まだ内視鏡室で働いたことのない方は、イメージしにくいかもしれません。
私の例ですが、大腸ポリペクトミーのとき、こんな悩みがありました。
先生が高周波装置のフットペダルを踏むタイミングに合わせて、介助者はスネアを締めるというけど…。
タイミングはこれで本当にあってるの〜!?😭
内視鏡室で手技に関わっていけばいくほど、疑問が増えていきます。
先輩方のやり方を見せてもらったり、コツを聞いたり、手探りで行っていました。
でもそこでもまた問題が出てきます。
- 処置具の扱い方は人それぞれ違う
- コツを覚えるには時間がかかる
- 自分の中に根拠がないと不安
- 先輩の手技を丸ごと真似しても自信はつかない、 など
これらの問題は、内視鏡室が専門性が高い領域であること、技術職の要素が強いことが理由にあります。
- 内視鏡室の専門性とは具体的には何か?
- どうすれば専門性を身につけることができるのか?
この記事を読めば、以下のことがわかります。
参考にさせていただいたすばらしい看護研究はこちら。
実際に内視鏡室ではたらく看護師の声を取り入れた研究です。
参考:消化管内視鏡検査における専門性として看護師に求められる能力 ─ 内視鏡部門に勤務する看護師を対象とした半構成的面接調査 ─ 日本看護研究学会雑誌 Vol. 29 No. 5 2006」
- 内視鏡看護師の専門性4つ
- どうやって専門性を身につけるのか?
- この記事のまとめ
ではさっそく、内視鏡看護師の専門性について見てみましょう。
内視鏡看護師の専門性
検査・処置・作業の流れを予測&じぶんで判断して行動
消化器内視鏡検査の途中で、治療にうつる場合もあります。
どんな状況になってもすぐ動けるように、看護師自身が、予測を立てながら参加することが必要です。
もちろん先生の指示のもとで、素早く動けるように、ですね
例えば、胃カメラを行った時の分岐ルートの一例はこちら。
このように、胃カメラひとつ行う場合でも状況はさまざまです。
そこで、内視鏡室で求められるスキルレベルを、大きく分けて三層の図にしました。
下層の基本的なことができて、上層へレベルアップしていくイメージです。
細かく説明していきます。
基本の感染対策(スタンダードプリコーション)
上の図、下層の「基本の感染対策」からいきましょう。
すべての医療の場では感染対策は必要ですが、内視鏡室では特に避けては通れません。
- 唾液
- 胃液
- 血液
- 腸液 etc…
このように内視鏡室では、分泌物とはどこまでいっても縁は切れない関係です。
基本的なことですが、感染対策はとても大切です。なぜなら、患者さんと医療者、両者の安全を保ち、検査を進めることが求められるからです。
技術・使用物品を使いこなす
続いて中間層、「技術・使用物品を使いこなす」を説明していきます。
胃カメラを一例にしたときでも、いろんな分岐ルートがあると上で説明しました。
このように、検査だけでなく治療に移行する場合もあるので、予測を立てながら動けると良いでしょう。
・出血が止まらない…
・止血剤使いそう
・薬剤散布 or クリップ or 局注法??
日頃から使用物品・機器を熟知しておき、必要な場面ですぐ使えるようにしておくことが大切です!
安全に機械を使い、内視鏡技術を提供しましょう!
判断力
図の最後の、上層「判断力」についてです。
内視鏡検査や治療をスムーズに行うために、内視鏡室の看護師自身が判断して動くことが必要です。
- 医師が今何をしているのかわかる
- 医師が次にする行動を読んですぐ動くことができる
- 検査・治療中も患者さんに必要な援助ができる
最初は難しいように思えても、目の前のことを一つ一つ覚えて、できることを増やしていけば大丈夫です。
上で説明してきたピラミッドの下2つ、基本の感染対策、内視鏡技術と使用物品を使えるようになりましょう。
じっくり経験を積んでいくうちに、内視鏡室でどう動くかという判断力は身についてきます。
わからないことは一つひとつ調べていけば大丈夫です
短時間で情報収集する
検査はほぼ予約制で時間は決まっています。1人の方にかける時間は限られているため、情報収集は以下の二つのポイントが大切になってきます。
- すばやく
- 重要なポイントや必要なことを聞く
具体的な情報収集のポイントの例はこちら。
年齢や検査経験にあわせ説明する
内視鏡検査や治療を受ける患者さんはいろんな方がいます。
その人が求めているものは何なのか、瞬時に観察・判断できると素敵な看護師さんだと思います。
例えば以下のような場合、人によって説明や対応がそれぞれ違います。
不安や心配ごと少しでも減らして、安全に検査や治療を受けてもらうことが大切です。
そのために患者さんのニーズについて短時間で把握し、わかる言葉で説明し、その人に合った援助を行います。
内視鏡看護と処置を同時に行う
検査や治療中は、患者さんが安心できるように、声がけ・タッチングなどを行います。
例えば、胃カメラで喉元を通り過ぎたあとに、「一番苦しいところは超えましたよ」と声をかける、など。
もちろん医師の補助もしながら進めなければならないので、1人では対応が難しい場合は応援を呼ぶことも必要です。
以下は、夜間などの人が少ない状況で、吐血などの緊急内視鏡に入った時などの例です。
- 患者さんの様子を看ながら、機械の操作をする
- 検査中状態の観察を行いつつ、声がけをする(進行状況も把握)
- 呼吸が苦しいそうな方にはタッチング、力を抜くように声がけ
- 鎮静中のモニタリング、状態観察、医師の補助
内視鏡看護師の専門性を先輩たちが身につけた方法
- 医師から説明や指導を受ける(検査中の用手圧迫など)
- プリセプター・先輩から学ぶ(機器の取り扱い、消毒、洗浄など)
- 技術到達度のチェックリスト(※病院の教育体制による)
- 業者の内視鏡機器のデモンストレーション(年一回程度)
- 雑誌購読など個人の学習
- 個人的に内視鏡のセミナーを受ける
- 「内視鏡技師医学講義カリキュラムを受ける」
消化器内視鏡技師資格を取得する予定なら、「消化器内視鏡に関する基礎医学の講義」を受けることができます。(※受験資格あり)
医学講義カリキュラムというものですね。
これは消化器内視鏡技師資格をとるために必要な講義ですが、内視鏡室の専門性を身につける方法として、一番の近道だと私は思います。
気になった方は、日本消化器内視鏡学会のホームページで詳細をご覧ください。
まとめ
内視鏡室の看護師の専門性4つ、それを身につける方法を説明してきました。
この4つの点を意識して仕事をするだけでも、知識や経験は染み込みやすくなってくるでしょう。
例えば…
- 情報収集をポイントを意識して短時間で行ってみる
- なぜこの処置を行うのか振り返ってみる
その4つの専門性を身につけるための、具体的な方法、体系的な知識・技術を得る方法を、下の記事で紹介しています。次のステップが知りたい人はどうぞご覧になってみてください。
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